対象 | アニメ作品の舞台探訪(いわゆる聖地巡礼)者 |
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公開/改記日 | 2014/06/27 2015/11/26(リンク切れ修正) |
誰でも編集可能な地図にOpenStreetMap(以降、OSM)があります。アニメ作品の聖地巡礼者にとっても地図編集は楽しいはずなんですが、聖地巡礼者用に書かれた記事が見つからないので、まとめてみました。
地図を自由に編集できると言っても、地図なんてGoogleマップとかを使っておけば十分、と普通は思うかも知れません。でも、聖地巡礼者の観点からは、OSMでは屋外に固定されているものならほとんど何でもデータとして扱い、地図化できるというメリットがあるんです。下の図を見てください。
これは、写真を元に、OSMで扱える情報をピックアップしてみた図です。普通の地図に描かれるのは、赤線で示した建物の外枠くらいですが、OSMでは、緑で示した自販機とかベンチの位置も入力できます。聖地巡礼的には、作品のポイントになる色々なものを地図データとして入力できるって魅力的ですよね。例えば、記事を書いている2014年6月に話題になった某所には、「海辺の駅で9人が撮影するのに使った証明写真機」があるそうですが、これもOSMなら入力可能です。
上の図の情報を編集ツール(この例ではJOSM)で入力したものが下の図です。矢印は上の図の写真の撮影方向を示すために合成表示したもので、実際のデータには含まれていません。
サーバにアップロードして、地図画像化(レンダリング)されたものが次の図。
地図としてのリンクはこちら。記事執筆時点では、ベンチは表示されていませんが、自販機2台は表示されています。地図データを追加したという記録は編集に使ったアカウントと紐付けて管理されるので、そこを誰がいつ編集したかは後からでも確認可能です。巡礼のついでに地図データを編集すると、巡礼の記念にもなりそうですし、そもそも、聖地の地図を自分で描くのって楽しいですよ!
このページでは、聖地巡礼観点で関連がある内容に絞って書いていますので、OSMの基本的な情報は、はじめてからのOpenStreetMapガイドやOSMのWikiサイトで調べてください。
最初の写真のところに緑の文字で「amenity=vending_machine」などと書かれていますが、これは、それが自販機であることを示す目印(タグ)です。OSMの地図データは、このようなタグで作られています。英語に苦手意識がある人もいると思いますが、基本的には厳密にスペルまで覚える必要はなくて、編集ツール上から選んだらいいだけです。私も覚えてないので手入力はできませんw。編集ツールの選択肢にないものは、「OSM タグ 証明写真」のようにググるか、Japan taggingやMap Featuresや五十音順POIタグ一覧から探してコピペするといいでしょう。聖地によくありがちな絵馬掛のように、日本固有のものなどで専用のタグが割り振られてないものもあります。そういう時は一般的な建物(building=yes)として入力するとか、名前だけ入力する(name=絵馬掛)のがよさそうです。
地図データを編集するために、現地にあるものを観察することが多くなるので、町ごとの特徴を見つけることができるようになります。せっかく遠征して行ったことがない町に行くんだから、ついでにそれぞれの地域についても知れるのはいいですよ。より作品世界に入り込んだ気分になれるかも。
巡礼時に役立つのが印刷した紙地図。時々、Googleマップを切り出してPDF化したものを配布しているサイトがありますが、そのようなオフライン利用は禁止されています。他の地図サイトでも、基本的に禁止されています。OSMは、元々このようなことを避けるのが目的で始まったプロジェクトでもあるので、地図画像のライセンスはCC-BY SA 2.0であり、「(c) OpenStreetMapへの協力者」の表示さえ入れていれば、勝手にPDF化して配布可能です。(注:サイトによりライセンスが異なる場合もあるので、念のため確認すること)
自分より後に巡礼する人の役に立つように、簡単に切り出せるOSM地図を、聖地に重点を置いて(?)充実させましょう。
現状、OSMの地図データはあまり充実してない地域が多いのですが、それを逆手に取って、例えばP.A.WORKS関連作品の聖地スタンプラリーのような楽しみ方もあります。特定のエリアを1箇所以上編集したらスタンプを押したことにして集計しています。このスタンプラリーの解説などはこちら。
よく分からないうちは、自分で現地確認した情報だけを入れてください。編集ツール上に表示されている衛星画像の情報は使っても問題ないです(ライセンス上の問題のないBing衛星画像が表示されています)。現地にあるものでも、地図看板を参考に入れるのはNGです。
アニメ作品内の建物の名前など、OSMデータに架空世界の情報の入力はしないでください。配布用の聖地マップ作成などをしたいときは、uMapやMapBox(日本語解説)など、OSMの地図画像の上に、自前のデータを重ねて表示するサービスを使いましょう。
そういえば、このページの例として使っている写真の地域に、4sqの「喜翆荘」なんて現実に存在しないベニューを登録したのは誰だよ・・ついチェックインしちゃったじゃないかww
架空世界の情報が書いてある、自治体が設置した現実の看板については、現実にあるものなので入力してもOKです。
iOSならPushpin OSMが便利です。Androidには同様のアプリはまだ無いですが開発中らしいです。お手軽度は下がりますが、OSM Tracker(Android)を使うとか、GPSロガーアプリでGPS情報を記録しつつ、合わせて写真撮影もしておいてJOSM上で情報を合わせて位置を特定してデータ化するという方法もあります。
このページの例でもベンチが表示されていませんでしたが、マイナーな内容は地図には反映されにくいです。ただ、OSMデータは、地図の元データが公開されていて、それが様々な方法で地図化(レンダリング)されているので、そのうちどこかに表示されることもあるでしょう。公開されているものだけでも数十サイトはあり、f4mapなど、3D地図もあります。
ウィキペディアなどの編集では、「検証可能性」を必要とすることもありますが、OSMの地図編集では、サーバにある情報は過去の情報であり、今日自分で見たものが最新の情報であり正しいはずです。例えば入力済みのOSMデータで店名などの間違いを見つけたら、自信を持ってデータを書き換えていきましょう。なお、編集情報は履歴もサーバで管理されているので、もし失敗しても元に戻すことは可能です。
初めての編集を巡礼先でしようとすると、慣れない作業で時間を浪費することにもなります。また、焦ってうまくデータが入力できてないこともあるかも。自宅の近所などであらかじめ地図編集の練習をしておきましょう。
入力できるデータはほぼ無限にあります。データを入力し尽くそうとすると疲れてしまうので、位置ゲーのチェックインをする、または足跡を残す、くらいのノリで、聖地巡礼1箇所につき1~2個入れるくらいがオススメです。慣れてきたら増やしてみてもいいかも。
ブラウザでOSMの地図を開き、図のように操作してください。
オブジェクトを選んだ後、ブラウザのアドレス入力欄を見ると、リンク可能なアドレスが表示されています。リンク例
上の図の方法でオブジェクトを選択すると、左側にオブジェクトの詳細が表示されます。
全国各地で不定期に開催されるマッピングパーティに参加してみてください。これまでに開催されたことはまだないと思いますが、聖地巡礼に特化したマッピングパーティもそのうちできるかも。結果的にそれらしい要素も含まれていたらしいマッピングパーティの記事はこちら。マッピングパーティの開催予定情報はまとまってどこかに公開されているわけではないので、#osmjpを見張るのがよさげ。
ハッシュタグ「#osmjp」をつけてつぶやくと誰か反応してくれるかも。私(@t_mz)にツイートしてもらってもいいです。